銀河図書館 手控え
(2020/8/22に作成)
一瞬タイトルを「銀河図書館 所感」にしようと血迷ったのですが、脳内の楓さんが「銀河図書館の所感を述べましょう」などと笑顔で口走る様が浮かんできたので却下されました。
どうも、るしゃです。
ちょっと前に某discord鯖で400字ほどのお便りとしてこの曲について文字を起こしたのですが、収まりきらなかった内容をメモ程度にまとめたいと思いました。今回は短いのでサクッと読めます(多分)。
本文
お便り原文
テーマ:星空の下で聞きたい曲
''テーマを聞き真っ先に思い浮かんだ曲でした。ラストの語りパートが特に好きです。
銀河の図書館に一人ぼっちだった女の子のお話。
「さぁ、君の物語を聞かせて!」。この一言は彼女に対しどのような意味を持つのでしょうか。ソロ一曲目の『Bright Blue』の歌詞に「ファンタジーな世界に救われたけど 本当の居場所は探せないまま」とあります。女の子にとって自分を救っていた「銀河図書館」を肯定し、そして彼女だからこそ綴れる物語で大勢の人を夢中に、笑顔にさせる。
「彼女」の歩んできた軌跡を、そしてこれから紡いでいく物語を祝福する言葉ではないか、と勝手に考えています。
「素敵な物語をありがとう。君をずっとずっと、待っていたんだ」という思いでいつも聴き入っています。"
[密やかな饗宴] 鷺沢文香 お便り紹介の際の背景でした。素敵。
400字に詰めに詰め込んだはいいけど果たしてこれは伝わったのだろうか?削りすぎて訳の分からないことになっていないか不安なのでお便りの内容から掘り下げます。
ラストの語りパート
ラストの語りパートについて歌詞を見ながら考えていきます。
「大きな大きな図書館で、女の子が本を読んでいました」
「そこはとても静かな場所 だれもいない銀河の果てで 女の子は、本を読んでいました」
「女の子は寂しくなんてありません 本を開けばそこには、たくさんの物語がありました」
銀河の図書館に一人ぼっちだった女の子。ですが女の子にとって図書館は寂しい場所ではないのです。たくさんの本に囲まれ、本の大好きな女の子にとってはとても居心地の良い場所だったに違いありません。
「しかし、ある日大きな嵐が来て、女の子は、知らない星へと落とされてしまったのです。」
「目を覚ますと、そこは四角い空の不気味な街 女の子は、怖くて怖くて仕方ありませんでした。」
女の子は居心地の良い銀河の図書館から見知らぬ街へと放り出されてしまいます。
ここで「女の子」の物語が「鷺沢文香」という人物のことを比喩的に示していることは想像に難くありません。ここでは少なくとも鷺沢さんが書店の奥に閉じこもっているばかりいるわけにはいかない状況を示しているものと思われます。
鷺沢さんは”文学部所属の大学生で、叔父の手伝いとして書店(中略)の仕事をしていたところをスカウトされた”*1という経緯でアイドルになっています。鷺沢さんは長野出身なので、スカウトされたという経緯からしてPが出没しそうな東京にある大学に進学したものと思われます。(モバだと愛媛エリアで初登場だけど愛媛は多分関係ないでしょう。)これについては考えすぎかもしれませんが都会に出てきて環境が変わったことへの不安感も表しているのかもしれません。
歌詞に出てくる「四角い空」という表現は「ビルの谷間からわずかに覗く空」というまさに都会を象徴する語なのであながち的外れでも無いかと思っていますが…。曲中のようなファンタジーな世界観であれば言葉通りの「四角い空」で見知らぬ星の「異質な景色」ともとれるのでしょうか?(どことなく『星の王子さま』とかを思い出しますし)。
何にせよ「銀河」という視界いっぱいに広がる星々と「狭く切り取られた空」の対比にはなっていると思います。
(自分がど田舎出身なのもあってですが)鷺沢さんは長野出身ということで、街灯とかが少なく星空が綺麗な環境で生まれ育ったんじゃないかなぁと妄想してます。かつて居た故郷と現在いる都会を比しての郷愁の念も感じ取れる…というのは深読みが過ぎるでしょうか。
「そこへ一人の人がやってきて、本を手渡してこう言いました」
「「さぁ、君の物語を聞かせて!」」
改めて、この一言は彼女に対しどのような意味を持つのでしょうか。
「本を読み始めると、たくさんの人がやってきました わくわく、どきどきしながらみんな物語に夢中でした」
「「めでたしめでたし」」
「みんなは笑顔になって、四角い空にも星がきらめきだすのでした」
多くの人々は「女の子の物語」に魅了されます。
これは鷺沢さんというアイドルがたくさんの人に「彼女の物語」を届ける過程をなぞらえたものと捉えていいでしょう。
「さぁ、君の物語を聞かせて!」という言葉で彼女は「四角い空の不気味な街」で一歩を踏み出すことになります。そしてそれは大勢の人々の笑顔に繋がります。
一番重要な点は「君の物語」というフレーズでしょう。
「女の子にとって図書館は寂しい場所ではない」、「とても居心地の良い場所」であったことを述べました。女の子にとって「銀河図書館」はとても大事なものであったに違いありません。
ここには女の子が未来へと一歩を踏み出すことを後押しし、そして女の子のこれまでの物語を肯定する二つの側面があります。
「さぁ、君の物語を聞かせて!」とは”彼女だからこそ綴れる物語で大勢の人を夢中に、笑顔にさせる。「彼女」の歩んできた軌跡を、そしてこれから紡いでいく物語を祝福する言葉ではないか”と述べた意図はここにあります。
『Bright Blue』と『銀河図書館』、昼と夜の対比
400字にはとても入りそうになかったので割愛していたのですが、『銀河図書館』について考えるにあたり『Bright Blue』を考慮に入れないわけにはいかないだろうと思い少々考えていました。
そこで思い当たったのは昼と夜の対比です。調べてみたら作詞・作曲の烏屋茶房さんも意図するところだったらしく少し安心してます。以下当該のブログです。
(『星の王子さま』とか思い出す、みたいなこと書いた後に
"(直接的なモチーフにはなっていないのですが、星や夜にまつわる本を読んだりもしました。
『銀河鉄道の夜』や『星の王子さま』、『一千一秒物語』等々。)"
という文章を見つけてちょっと驚きました。自分でも多少はモチーフとか読み取れてるんでしょうか。)
1曲目と2曲目で昼と夜、とりわけ青空と星空の対比だと思っていたので、「星空の下で聞きたい曲」というテーマにも一致すると思いお便りに銀河図書館を選んだ側面もあります。
青空、星空っていう単語を直接使わず間接的かつ文学的に表現するのが鷺沢さんのソロ曲らしいなぁと感じます。
昼と夜の対比とは言ったのですが、『Blight Blue』は1曲目としてのCMシリーズがアイドルとしてデビューしたばかりの曲というコンセプトなので、その通り率直な鷺沢さんが綴られてるように思います(最近はCMシリーズもスパンが空いてきてその限りではないのですが)。
1曲目を昼として2曲目にあたる『銀河図書館』は夜にあたり、お互いがお互いを補完するような関係がしっくりくると思います。
『Blight Blue』の
「どこまでも続くシナリオの中 どれだけの涙 笑顔に出来る? やっと見付けた光」
に対して『銀河図書館』の
「本を読み始めると、たくさんのひとがやってきました わくわく、どきどきしながら みんな物語に夢中でした 「めでたしめでたし」 みんなは笑顔になって 四角い空にも星がきらめきだすのでした」
の歌詞が対応すると思っていて、鷺沢さんの「誰かを笑顔にしたい」という目的に対して手段ときっかけを与えたのが「さぁ、君の物語を聞かせて!」だったんじゃないかなぁ、とか思っていました。
『Blight Blue』で描かれた部分を補完するように、直接的な表現を避けてあくまで文学的に著したのが『銀河図書館』の物語かと思ってます。
「朝が来るのならば」とか「夜がいま空けていくよ、だけど」とか『Blight Blue』を意識した部分じゃないかと推測しています。
「少女がやがて恋を知るストーリー」とか一切触れてないのでもっともっと奥行きがある曲だと思います。コミュとか全然読めてない私ごときには語れる術がないです。
終わりに
夏休みだからブログとか頑張って書きたいとは思いつつも、毎回調べながらこの量書くのきついなと一本書き終えてから思いました。